キミから「好き」と、聞けますように。

紗雪side


ひなから、寛太がミノリちゃんのことについて説明したいと聞いて、わたし達は放課後、学校の近くの人気のない道路へと行った。



「それで、何だったの? 寛太」



「土井川のことだったんだな」



「へ……?」



「土井川 実里のことだろ。背高いショートカットの」



「あっ……うん」



ミノリちゃんって、土井川 実里っていうんだ。


今の今まで全く知らなかった、まあ当然なんだけど。



「で、紗雪見ちゃってたのか。その、俺が土井川と一緒にいたの」



「う、うん……」



話の内容としては、実里ちゃんが戸田くんと付き合っていたことで少し心配だったみたい。

けれど、文化祭以来戸田くんからどんなにしつこいことをされても実里ちゃんは全く相手にせず、連絡先もブロックして、大沼くんと一緒に戸田くんがわたしをいじめていたことや、実里ちゃんに露出の高い服を着せたりしたことを周りの人へ広めたらしい。


今や戸田くんとしては、女子から避けられてばかりの学校生活で大変みたいだ。


それが関係しているかはわからないけれど大沼くんと実里ちゃんの距離はいつの間にか近づいたようで、2人は付き合い始めたという話も聞いた。



「そういう近況報告をしてただけなんだ」



「な、なぁんだ……。そういうことだったんだぁ……」



安堵のあまり、涙が出るところだった。




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