キミから「好き」と、聞けますように。

思わずその声に、わたしはヒッと息を呑んだ。


声はあの時より低くなっているけれど、こういう態度で言ってくるのは、わたしは誰なのか真っ先に予想がついてしまった。

振り返ると、案の定の人がそこに立って、まるで汚いものを見るかのような目でわたしを睨みつけていた。



「と、戸田(とだ)、くん……」



戸田 幸之助(こうのすけ)くんは、小学校の同級生。
5年生の頃に同じクラスだった男子。
声が大きくて、短気な性格で、それに……。



『お前、人の話聞けよ!』



あんな風に言って、わたしを突き飛ばした人だ。


まさか、カラオケで再会してしまうだなんて。

思いもよらなかった事態に、わたしは思わず口をぱくぱくと動かして、体は動かなくなってしまった。今さっきまで注がれていた音が聞こえなくなったので、わたしのアイスティーも、東條くんのもメロンソーダも、もうすでに注がれているのが分かったけれど、やっぱり手も足も動かす余裕がもうなくなっていた。



「幸之助ー!」




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