契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「まさかこんな話をされると思ってもみなかったから頭からふっ飛びかけたけど、私、あの時その佑華の旦那様の顔見て引っかかってたんだよね……」

「え? 七央さんのこと? 引っかかってたって何が」

「なんかどっかで見たことあるような……って。で、あの後気になって調べたんだよ、自分のモヤモヤ晴らすために。そしたら、昔モデルやってたんだよ」

「モデル!?」


 今度は私のほうが周囲の注目を集めるような声を上げてしまう。

 ハッとして口を押さえ、肩を竦める。

 そう言われて思い出したけど、二度目に会った食事会の帰り、女子たちがそんな話題を出して盛り上がっていた。

 あの時は噂レベルの話なのかと思っていたけれど、本当だったんだ……。


「そう。多分、彼が大学生くらいの時じゃないかな。私、お姉が買ってた雑誌よく勝手に見てたんだけど、その雑誌によく出てたんだよ。専属だったのかな……? お姉がカッコイイってよく言ってたのも聞いてたから、より印象に残ってて」


 驚きぽかんとしながら耳を傾ける私を、亜紗美は「ちょっと佑華、聞いてる?」と視界でひらひら手を振る。


「ああ、うん、聞いてるよ」


 容姿端麗で、その辺の男性の中に入れば文句なく抜きん出ているとはいつも思っていたけれど、まさか本当にモデルなんてやっていた過去があったなんて驚き。でも十分納得もいく。

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