初恋物語~大切な君へ


俺はようやく学校に着き、真っ先に教室まで早足で向かった。
もう帰ってるかも知れない。
だけどまた顔見たくてたまらなくなった。
俺…どうしたんだ
こんな事初めてだ…こんな自分から行動に
出たの。
びっくりしてるけどすごくこの気持ち
楽しい。
木梨さんの事色々考えてたらあっという間
に教室に着いた。

木梨さん…


「いた!」


ん?木梨さん?

後ろから見る木梨さんは机ににぐったりと
前かがみで俯いてる姿がそこに映っていた。



「木梨さん!」
「大丈夫?」


あれ?寝てる?!

木梨さんは寝息を微かに奏ていた。

ふふ(笑)

こんな木梨さん見れるの貴重だな。
俺は自分の席の椅子を木梨さんの方向に
向けて座った。

後、5人分の資料をまとめてフォッチキス
で止めるってとこかな。
その後淡々と資料をまとめて終わった。

後は木梨さんが起きてくれるのを
待つだけか。
それにしてもいつから寝てるんだろう。
よほど眠たかったんだね(笑)

それにしてもいつも2つ三つ編み(笑)
そこがまたツボなんだけどね。
でもこの三つ編み外したらどんな木梨さんになるんだろ。
もうそう考えた時には既に遅かった。
俺は両手で木梨さんの結んでいる
ヘアゴムをほどいていた。
俺は何やってんだ?


ふわっとほどいた髪がサラサラと落ちていく。
その瞬間を目が離せないでいた。
そして、木梨さんは起きてしまった。







何か視線が感じる…
誰かいるの?
あああ!やばい!資料!
私は慌てて前を向いた。
そこにはまさか、さっきまで教室には
私1人しか残ってなかったのになんで…



「きゃっ!」
「なんで?いるの?!」
「なんで吉川颯太君がいるの?」
「なんで私の髪ほどけてるの?」
「なんで吉川颯太君が私の髪を持ってるの」

状況が全然わからないうえにパニックに
なっていた。
どうしているの?



木梨さんは突然の事に驚いていた。
そりゃ寝ている間に突然俺がいたら驚くよな。
しかも髪ほどかれてその髪持たれてる状況はさすがにびっくりだよな。



「木梨さん、驚かせてしまってごめん」


なにか口実作らないと…。



「実はこれ!」
「家の鍵忘れてさ取りに来たんだよ!」
「そしたら木梨さんが教室に居て」
「後ろから見たら具合悪くみえてて」
「心配してたんだけど木梨さん寝てて」
「机の物を見て状況を把握して」
「少しでも役にたてたらなぁって思って」
「やっておいたんだ。」
「でもそのまま帰ったら木梨さん気味悪く」
「なるだろうから起きるまで待ってよって」
「思って待ってたんだ。」


「そーゆ事だったんですね。」
「資料、完成させて下さって」
「ありがとうです。」
「でも1つわからないのが…」
「なぜ私の髪ほどかれてなおかつ」
「その髪を持たれてるのかなと…」


「ごめんなんかほどいたら」
「木梨さんどんなイメージになるのかなと」
「気になってしまったんだ。」


「/////なっ!」
「とっとにかく資料」
「ありがとうございました!」

私は初めて男子にそんな言葉聞いて
ただただ恥ずかしくてたまらなかった。
とにかく早くこの場から立ち去りたい
一心で頭がパニックなっていた。

「私資料職員室に持って行って」
「帰るので、これで失礼します!」



そう話すと私は真っ先に教室を飛び出していた。
吉川颯太君が待って言う声はこの時全く聞こえないくらいテンパっていたのだった。
その後はそのまま教室に資料を置いて、
猛ダッシュで家に帰って行った。
家に帰ってからも今日の出来事を思い返すとすごくザワザワする。
なんだろこの感じ…
私は地味に高校生活送らないと前みたいになるのはもう二度と嫌だ。
だからあまり関わりたくないのに
平気で吉川颯太君はそれを越えてくる。
やっぱり私…吉川颯太君が苦手だ。
今日の出来事はたまたまだったと自分に
言いきかせ今日1日を終わらせた。




俺は1人教室にポツンと残ってしまった。
彼女を相当驚かせてしまったらしい。
でも俺は1つわかった事がある。
俺はこんなに必死になるのも、木梨さんを
もっと知りたいと思うのも好きなんだと
わかってしまった。
1人の女性にここまで俺が執着するのは
初めてでさっきから今に至るまで
驚きが隠せない。
少しずつでもいい。
これから木梨さんに近づいていけたら
良いなあと思う。
これから俺の初恋物語は長期戦だとこの時
夕焼けに染まった教室に浮かぶ俺の影から
その思いが滲み出ていた。



第1章end
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