初恋物語~大切な君へ


「雫、優馬ただいま。」
「遅くなってごめんなさいね。」





「お母さん、お父さんおかえり。」




「雫どうした?」
「元気ないけど体調悪いのか?」



「そんな事ないよ…お父さん。」



「何かあったの?優馬…雫の様子」
「おかしいわよ。」




私は今から話す内容の事で頭の中はいっぱいいっぱいになっていた。
どう切り出すか…ちゃんと話せれるか不安な気持ちが表に出てしまいまともにお父さんやお母さんの顔を見れなくなっている




「今から話しするからそれで」
「なんで雫が元気がないのかわかるよ。」





「とりあえず座って話をしようか。」



そうお父さんが切り出し私達家族はそれぞれ食卓の椅子に座った。
そして少し沈黙の間ができ、その空気が
重く感じ私はその重い空気が耐えられなく
話しをし始めた。





「ねぇお母さん、お父さん。」
「単刀直入に聞くけど良い?」





「どうしたの2人共…そんな深刻に。」



「雫、聞くから話しなさい。」




「お父さんありがとう。」




「私…お母さんのお腹から産まれて」
「きた子じゃなかったの?」







「!?雫!!」
「どうしてそれを…。」





「どうしてって…。」




「母さん、俺が見つけたんだよ。」
「掃除してる時、書類の棚整理してたら」
「母子手帳が雫のだけ出てきた。」




「そこに2階の掃除してた私が」
「喉渇いたから1階に降りたら兄ちゃん」
「が棚の前で動かずにいるもんだから」
「様子見に行ったら兄ちゃんの手には」
「母子手帳が握りしめられていた。」
「私は兄ちゃんから母子手帳を奪い取り」
「見てみると私の母子手帳だとわかった」
「のだけれど…。」
「そこにはお母さんの名前は書いて」
「なく、藤田絵里子って知らない人…。」
「私の名前も藤田雫ってなってた。」
「これって明らかだよね?」
「私、お母さんから産まれてきていない」
「って事じゃん!」
「ねぇ…お母さん、お父さん教えて。」
「私はなんでこの家に来たの?」





「雫黙っててごめんね…。」
「本当の事言うわね。」
「雫の本当の母親は藤田絵里子よ。」
「私とお父さんの幼なじみなの。」
「絵里子と私は大学卒業して同じ月に」
「それぞれ結婚して、私が1年先に」
「赤ちゃんを授かったそれが優馬よ。」
「そして絵里子も私が出産した1年後」
「に雫を授かったの。」
「ここまではすごく幸せいっぱいで」
「私達はいつも時間が合えば絵里子の」
「旦那さんの敬浩さんも含めて4人で」
「色々出掛けたり集まったりしてたわ。」
「雫を出産して半年、絵里子と敬浩さん」
「は沖縄に新婚旅行に行ったの。」
「絵里子達結婚してからも仕事とかで」
「バタバタで雫も産まれて絵里子も敬浩」
「ようやく落ち着き出した頃だったから」
「雫は私達が世話するから2人で」
「ゆっくり楽しんできてって新婚旅行」
「を提案し2人共7月に沖縄に行ったの」
「だけれど帰りの飛行機で墜落事故に」
「あってしまって2人共亡くなった…。」




「そんな…そんなの残酷すぎるよ。」






「それから雫をどうするかで私は」
「雫を本当の娘のように想ってたの。」
「絵里子の御両親は絵里子が中学の時」
「離婚して母親と一緒に暮らして父親」
「は音信不通で母親も高校生の時に」
「ガンで亡くなったから絵里子の」
「親戚と敬浩さんの御両親と話し合って」
「私達が育てる事に決まった。」
「雫とは血が繋がってなくても私達の」
「大切な娘なの…これからもこの先も。」
「雫が義務教育を終えた時にちゃんと」
「本当の事を話そうと決めていた」
「のだけれどもっと早く話すべきだった」
「わね…雫を悲しませてしまって」
「ごめんなさい。」






「ちゃんと本当の事聞けて良かった。」
「お母さん、謝らないで。」
「私こそごめんなさい…。」
「話しを聞く前から責めるような言い方」
「しちゃった。」






「いいのよ。」
「雫はなにも悪くないもの。」





「ねぇ、これからもお母さんもお父さん」
「もずっと私の親でいてくれる?」
「どこにも行っちゃヤダだからね。」
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