初恋物語~大切な君へ

はぁ…神様すみません。
俺は妹にキスしてしまいました。
罰は受けるつもりです。
自分で決めた事も守れなかった…。
そう自己嫌悪しながら俺はベッドから
離れ雫を起こす事に切り替えた。
さすがに起こさないとまずい。

平常心…平常心…。

「ふぅーーー」

俺は気持ちを切り替えた。
そしてベッドから少し離れて雫に声を
かける。


「雫!」
「もうばーちゃん家に行く時間だぞ。」
「起きろ。」

雫からの反応はない…。
寝息だけがスゥースゥーと鳴り響く。
全くどんだけ寝付きが良いんだよ。
俺は更に起こすために雫の肩を揺らした。

「しーずーく起きろ!?」

肩を揺らした手から雫の熱を感じた。
体温が熱い。
もしかして風邪引いてるのか?!
その時雫が反応した。

「んんー」
「兄ちゃん?」
「今何時?」


「9時40分」
「って言うか、雫大丈夫かよ!?」
「身体熱いぞ?」


「なんとか大丈夫。」
「兄ちゃん準備するから…」

私はそう兄ちゃんに言い、ベッドから降りて立ち上がると身体が上下ふらついてしまった。
あっ、倒れる…。

「危ない!」

俺は咄嗟に倒れる雫を抱き抱えていた。
雫の身体から伝わる熱。
これは大丈夫ではないだろ…。

「あっ、兄ちゃんありがとう。」


「ちょっと寝てろ!」

俺は雫をそのまま抱き上げベッドに寝かせた。

「ちょっ!兄ちゃん大丈夫だって。」
「自分でベッド行けるから!」

「兄ちゃんに任せとけって。」

ドスっと雫をベッドに寝かした後
雫の部屋を出ようとしたら雫のスマホが
鳴り出した。
雫のスマホはベッドの横にあるベッドサイドラックの上に置かれている。
俺はずっと鳴っているスマホに手を伸ばした。
そして俺はそのまま画面を確認する。
そこに表示されている人物は…

吉川颯太っと表示されている。

俺は通話ボタンを押し電話に出た。
俺が通話に出た瞬間吉川颯太は雫だと思い込んでいた。


「あっ、雫?朝7時頃LINE入れた」
「のだけど返事ないから心配でかけた。」


「もしもし。」


「!!?」

雫だと思っていて喋っていた俺は
驚愕する。
なんと電話に出たのは男の声だった。
そして奥から雫の声が聞こえる。

「俺、雫の兄の優馬だけど…」

「兄ちゃん!誰?なんで勝手に出るの?」


「お兄さん、雫に代わってもらえない」
「ですか?」


「代われない。」


「兄ちゃん!」
「お兄さん!?」

俺と雫はほぼ同時にそう叫んでいた。
一体なぜ雫の兄は雫に代わってくれないのだろう。
なぜ兄は雫の電話に勝手出たのだ。


「お兄さん、何故代わってもらえない」
「のですか?」


「雫は今体調が悪いから」
「ベッドで横になっている。」

そう言って俺は雫の顔に近付いて
頭を撫でながら吉川颯太に伝えた。


「ちょっと兄ちゃん!髪ぐしゃぐしゃに」
「しながら頭撫でないでよ。」
「誰なの?誰からかかってきたの?」
「教えてよ!」



「雫…体調悪いんですか。」
「わかりました。」
「今日は大人しく切ります。」

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