初恋物語~大切な君へ
私はそのまま口に入ってきたイチゴを
食べた。


「兄ちゃん!」
「一体なに!?」


「イチゴ余ったから、食えって意味。」



「それなら普通に渡せば良いじゃん!」


「ごめんって!」
「謝ったから腕叩くなって(笑)」



ズキッと心が軋む…。
私は優君が雫の口の中にイチゴを入れると
言うじゃれ合いを見てしまった。
優君そーゆ事は兄妹の間であってもしないよ。
もう好きって行動に出してるじゃん。
それに気付かない雫が鈍感すぎてちょっと
不快に思ってしまう。
雫は別に悪くないのに…。
これは私がただ、嫉妬しているから…。
私もして欲しいよ…。
そう思っていた頃にはもう既に私は
動いていた。



「優君!私もイチゴ食べたい!」


そう言って私は優君の腕の袖を掴んだ。
雫も、優君も突然の事でビックリしている。
それはそうだよね…普段私こんな行動を
した事ないもん。



「美桜?」
「わかったやるから。」
「そんなにイチゴ欲しかったんだな。」



「うん…。」
「あー。」

優君はやはり私の場合は手渡しであげようとしていた。
だけどそんな事は私は知っている。
だから…私は先に口を開けてアピールを
した。


「はい。」

優君が私の口の中にイチゴを入れてくれた。
なんだか自分から言ってちょっと恥ずかしさと悲しさと嬉しさが混ざりあってイチゴがさらに甘酸っぱい味になった。


「ありがとう。」



「あっ…うん。」



美桜…?
もしかして私の勘違いかわかんないけれど
兄ちゃんの事好きなのかな?
ライクではなくラブな方。
あんな、美桜見たことない。
なんだか私…悪いことしちゃったかな。
タイミング見て聞いてみよ。
そんな事を考えていたらケーキは良い感じに完成していた。


「出来た!」
「美桜、兄ちゃん見て!」



「わぁー!雫ありがとう!」
「すごく美味しそう!」



「本当だ、すごい美味そう。」



「後は颯太君達が来れば」
「始められるね!」


「あっ、LINE来た。」

私のスカートのポケットからスマホが
震えた。
きっとグループLINEだろう。
私はポケットからスマホを出してLINEを開ける。

「もう美桜の家に着くってきたよ。」



「あっ、本当だ。」

グループLINEだから当然美桜のLINEにも
きていた。


「とりあえずケーキは冷蔵庫」
「に入れるね。」


「ありがとう!」


私が冷蔵庫にケーキを入れたと同じタイミングでインターフォンが鳴る。
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