再出発
次の日は、学校生活についての説明だった。
細かく校則が記されたプリントが配られる。
プリントを後ろの席の杉野くんに渡す時、どうしても意識してしまう。
急に肩を叩かれた。
「なぁ、ここの校則厳しいよな」
「そうだね」
必要最小限の会話しかしない。
「俺食堂行ってみたいんだ」
「そうなんだ」
でも、そんな私に構わず、杉野くんはいっぱい話しかけてくれる。
一時間目の授業が終わり、高校生活最初の休み時間がやって来た。
誰とも関わらないでいよう。
私の決心は一日目にして打ち砕かれる。
「白金さんって好きなものあるの?」
「特にない」
「へえ......」
嫌な予感のする質問。
「俺は、並木道19が好きなんだ」
「......そうなんだ」
「もしかして白金さん知ってる?」
「いや、知らない......」
「なんだー、残念」
手のひらに汗が滲む。
裏表のなさそうな杉野くんのことだもん。
私のことを知ってこの話をしてるわけじゃないはず。