みやとロウ。
今までは我慢できていたのに
自制が効かなくなる程、感情に振り回された


休む間もなく次々色んな感情が入ってきて
我よ我よと主張する

自分はここだとうるさく訴えてくる



嫌い、ムカつく

悲しい、辛い

うらやましい、妬ましい

寂しい、苦しい



頭が痛い、耳が痛い、胸が痛い



体が心が痛い



「…っ」



もうやだ


誰にも会いたくない、話したくない、見たくない


新しい学校にはろくに通えず
施設でもほとんど部屋に引きこもり

そんな私に周囲の人は手を焼いていた


いたたまれなくて
そこに居たくなくて


度々、脱走した


けど、すぐに見つかったり
途中で力尽きて道端で倒れて保護されたり


その度に引き戻された


それでも耐えられなくて
何度も脱走を繰り返して



ある日



『立ち入り禁止』



そう書かれた札を見つける

整備されてない森の入り口に貼り付けられた注意喚起の札


まだ日の暮れる時間でもないのに
その場所は薄暗くて
どんよりと重苦しい空気が漂っていて

普通の人なら足を踏み入れるのを躊躇うような場所

けど、人を寄せ付けないその雰囲気が
その時の私には輝いて見えた


…ここなら、誰も入ってこない


ここなら追いかけても来ない
探しにだって来ないだろう


ようやくひとりになれる


ほっとしながら私は
立ち入り禁止の札の向こうに足を踏み入れた
< 12 / 162 >

この作品をシェア

pagetop