みやとロウ。
施設に引き取られてから
私は自分の事を名前で呼ぶようになった



体質のせいで
進んで人とは関われなくて

相手もそんな自分を気味悪がって
厄介者と嫌悪して遠ざかった


ひとりきりの真っ白な部屋で
ただ時間が過ぎるのを待つ毎日


ただ同じことを繰り返す毎日



怖かった



いずれ


名前さえ呼ばれなくなる日が来るのではないかと



だから


誰に呼ばれなくなっても

呼んでくれる人がいなくなっても大丈夫なように


自分の事を忘れないようにするために


大切な人が唯一、遺してくれた
この身体と、この名前


自分と言う存在だけは
失くしてしまわないように



自分を名前で呼ぶようになった
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