みやとロウ。
……いや、女のひと?


中性的な顔付き、体つき、声

性別が分からず
こてんと首を傾げる



「きみ、白すぎるから
障(さわ)りをもらうよ」



……さわり?



「さて。それで?迷ったの?」



その問いかけは私にではなく
いまだに目の前をふよふよ漂っていた綿毛に向けられた



「―――」



小さく
何を言っているのか分からなかったけど

声のような音が響く



…なにか、しゃべってる?



「そう。まだここにいたい?」


私と違って、綿毛が何を言っているのか
ちゃんと聞き取れている様子のそのひとは
優しい表情を浮かべながら、綿毛に言葉を返した



「――」

「でもね、あまり長居をすると還(かえ)れなくなるよ」

「――――」

「そうだね。そろそろ向かった方がいい」



「道案内してあげる」



ぱちくりと目を瞬かせる


…今、どこから…


おもむろに掲(かか)げたその手には
房飾りのついた薄紫色の丸提灯


さっきまでそんなもの持ってなかったのに



その丸提灯を綿毛に向けると



しゃんしゃんしゃん



と、提灯の中から綺麗な鈴の音が聞こえて



それに応えるように綿毛が淡く光始める




「――――…」


「うん。大丈夫
きっと、きみを待ってるよ」


「――」


「どういたしまして」
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