みやとロウ。
――…




それから

私は毎回、庵に立ち寄るようになって


ロウに言われた通り
塞ノ神さまは会いに行く度、喜んで私の相手をしてくれた


色んな話を聞かせてくれた

色んな事を教えてくれた

たくさん優しくしてくれた



それは今も変わらない




しっかりと私の手を握る優しい手

見つめながら、口元を緩める




「じゃあね、みや
明日もおやつを用意して待ってるから」

「うん」



あの日のように
穏やかに笑って、私に手を振る塞ノ神さま


そのまま去っていく塞ノ神さまの
その後ろ姿をじっと眺める



『明日も待ってるから』



なんてことのないように、そんな言葉をくれる



そこに居ても良いよって


おいでって言ってくれる



笑って、出迎えてくれる


心配して、見送ってくれる





塞ノ神さまにとって
それは何気ないことだったとしても



私にとっては大きなことで




すごく、嬉しいことなんだ
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