みやとロウ。
分かってる

だけど、いたたまれなくて
どうしても目線が下がってしまう


目を合わせられない私に
ロウは小さく息をついてから言った


「お前が『奥』に近付かなかったとしても
遅かれ早かれ、こうなっていた」


「人の身、珍しい魂の色
狙われる理由には充分」


「…」


「塞ノ神が動いてる
心配せずとも、お前に手は出させない」


「大丈夫だ
だから、お前はいつも通りにしてろ」


「いつまでもその調子では
俺が落ち着かん」



そっと、視線を上げれば
言葉通り落ち着かなさそうな顔のロウ


……確かに、これ以上落ち込んでいたって
現状は変わらない

いつまでもうじうじしてたって仕方ない


「………うん。
ありがとう、ロウ」


気持ちを切り替えて
ロウの隣に腰をおろした


「…そういえば、なんでロウは人の姿?」


「塞ノ神の言い付けで『奥』に行っていた」


だから、珍しく迎えがなかったんだ
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