もしも世界が終わるなら

 シルバーウィークという呼び名が定着しつつある今日。その四連休に有給休暇を三日申請して一週間丸々休みにしても快く承諾されるのは、優良企業に勤められている証拠だろう。ありがたいことだ。

 もちろん短大を卒業してこの方、二十八歳まで真面目に勤めているからこそだと自分を少しくらい讃えたって罰は当たらないはずで、この休みはそのご褒美のつもりでいる。

 長い休みを取ったのは、青色の背もたれがどこか古めかしい座席の頭上に、今も吊り下げられている広告の一文が図らずも心に響いたからだろう。

『もしも世界が終わるなら』

 そんなキャッチコピーをあちこちで見かけるようになったのは、近頃の気候変動による異常気象や、天変地異とも思える出来事の連続が重なっている世の中のせいかもしれない。

『もしも世界が終わるなら』そのあとに続く言葉は、読んだ人の行動を促す効果を狙っている。

『あなたなら、なにをしますか』
『あなたなら、なにを食べたいですか』
『あなたなら、誰と過ごしますか』

 旅行の広告であったり、レストランの呼び込みだったり。明日が当たり前に来る毎日の中で今一度立ち止まり、一日を大切に過ごしてみようと提案している。
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