もしも世界が終わるなら

「そうだね。懐かしい」

 今の私を知る人は、野山を駆け回っていたとは思いもよらないだろう。そのくらい引っ越しの前と後とでは、ガラリと生活も何もかもが変わってしまった。

「学校も久しぶりに見たから、懐かしいな」

 正面から見た校舎よりも、この土手から見る裏側の校舎の方が記憶に残っている。

「そっか。そうだよね」

 ここからは小学校の校舎に隠れて見えないが、中学校も小学校のすぐ近くだ。

 小学校から中学に上がると、いよいよ男女で仲良くしている人は少なくなった。

 大人数で仲良くしている子はいても、二人となると友達というよりも、付き合っているという違う形で一緒にいる子達くらいだった。

 中には私たちが付き合っているのだと決めつけている人もいて、冷やかされたりもした。それでも、私としいちゃんの関係が変わることはなかった。

 田舎で子どもの人数が少なかったため、学年ごとにひとクラスしかなく、クラス替えを経験しないまま小学生から中学二年まで、ずっとしいちゃんと同じクラスだった。

 そこがまた、ふたりの仲を強固にした要因だったのかもしれない。
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