李世先輩は私のことを知り尽くしている?

キスの意味


夕食を食べ終えて日が落ちると、ぞろぞろと外へ移動する。


本日最後のイベント、キャンプファイヤーのためだ。


メインイベントは、ランタンを飛ばす方だけどね。



先生が木の枠組みに火をつけると、意外にも高く燃えあがった。


ゆらゆらと揺れるオレンジ色の炎は、いつまでも眺めていられる気がする。




燃え盛る炎の周りに集まって先生の話を聞いた後、いよいよランタンを飛ばす準備にとりかかる。


李世先輩と一緒に、事前に振り分けられていた班の子たちに、筒型のランタンを配ってまわる。


オシャレなイベントだし、ワクワクするのは分かるけど、それにしてもみんな、妙にそわそわしているような。



特に、男女のペアがランタンを受け取るとき。


顔を見合わせて、気恥ずかしそうに、でもうれしそうにランタンを手に取る。


その様子を何度も見ていると、こっちまで妙に緊張してきちゃう。




「な、なんだか、不思議な雰囲気ですね」


「陽茉ちゃん、自然教室にまつわる『あるジンクス』のこと、知ってる?」




何気なく李世先輩にそう言うと、先輩は質問で返してきた。




「ジンクス……ええと、知らないと思います」


「同じ班になって一緒にランタンを飛ばした二人は、結ばれるんだって」

「む、結ばれる、ですか」




そんなロマンチックなジンクスがあったんだ。

私も梓ちゃんも、そういうのには目ざとくないからなあ。
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