ハージェント家の天使
「マキウス様のご身分ですか?」
「ええ。我がハージェント家は男爵の爵位を持っています。貴族の中では最下位に位置しています」
「そうだったんですね……」
 マキウスは項垂れた。
「モニカには身分が低いので、これから苦労をかける事が多々あるかと思いますが……」
「でも、貴族なんて凄いです! だから、マキウス様はそんなに素敵で、カッコいいんですね!」
 マキウスの言葉を遮るように、モニカは興奮気味に話した。
 モニカの言葉に、マキウスはハッとした顔をすると、顔が赤くなったのだった。
「モニカ、何を言って……! いえ、もしそうだとしたら、それはペルラ達のおかげですね」
「特に乳母のペルラには、厳しく育てられました」と、マキウスは苦笑したのだった。
「それだけでもないような……。そうだ! せっかくなので、その政略結婚や私達の出会いについて教えて下さい!」

 モニカは確かに「モニカ」としての記憶を持っているが、何故かマキウスや結婚に至るまでの記憶が曖昧になっていた。
「勿論です。ただ、私はあまりモニカ自身については詳しくありません。結局、私達はほとんどお互いを知る機会が無いまま、今に至っているので……」
 そうして、マキウスは教えてくれたのだった。
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