ハージェント家の天使
 それにより、国民は更に激減し、孤児が増え、物盗りが横行し、王家がいかに手を尽くしても治安は悪くなる一方であった。
 苦肉の策として、ガランツスはレコウユスに助けを求めてきたのだった。

 レコウユスは度重なる議会の末、ガランツスに救いの手を差し伸べる事にした。
 全てが収束した後、レコウユスはガランツスの謝罪を受け入れて、両国は和平の同盟を結んだのだった。

 その同盟の証として、両国からはそれぞれ数人の女性達を花嫁として迎え入れる事になった。
 両国から同数だけ受け入れる事で、互いに不利益を被らない為であった。
 両国は王族から平民まで、身分を問わず国で自慢の女性達を、相手国に送り出した。
 そうして、両国は女性達を大切にする事を誓うと、それぞれ受け入れ続けてきたのだった。

 それからは、60年毎に両国は花嫁を迎え入れている。
 60年という期間なのは、最初に迎え入れた花嫁が60人だったからだと言われている。
< 31 / 166 >

この作品をシェア

pagetop