ハージェント家の天使
 肩ぐらいまでの赤茶色の髪を2本の三つ編みにして、白いメイドキャップを付けた頭からは犬の様な茶色の小さな耳が生えていたのだった。
 女性は、御國の姿を見ると耳を揺らしてギョッとした。

「あ、あの……。これは、その」
「知らせなければ……! 誰か、モニカ様が目を覚まされました!」
 御國が説明する前に、女性は叫びながら部屋から出て行ったのだった。
 女性が去った後には、女性の叫び声に驚いたニコラがまた泣き出す声だけが残されたのだった。

 御國がニコラを呆然としている間に、先程の女性が年配の女性を連れて戻ってきた。
 年配の女性も同じように御國の姿に驚いていたのだった。
 そうして、御國に近づくと、泣き止んで眠っているニコラを取り上げたのだった。
 女性と同じ服を着た年配の女性は、御國からニコラを受け取るとベビーベッドに戻した。
 そうして、御國は女性によって、先程まで眠っていたベッドに戻されたのだった。
 ニコラを取り上げられて、やや不満気な御國はベッド脇に立って話している二人の会話を聞いていた。

 二人の会話から、先程の女性がメイドで、年配の女性がメイド長らしい。
 薄い金色のメイド長の頭からも、犬の様な耳が頭から生えていた。
 先程のメイドは赤色の耳だったが、メイド長は白色の耳だった。
(触ったら柔らかそう)
 御國がベッド脇に立つメイド長の耳を眺めていると、ノックと共にまた扉が開いたのだった。
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