解けない愛鎖

「リナ、ひさしぶり」

コンビニから出てきたヒロキは、まるで待ち合わせでもしていたかのように、軽く手を挙げて挨拶をしてきた。


「急に、何の用?」

目の前に立ったヒロキを警戒して一歩下がると、彼がふっと息を漏らした。


「さっき話したでしょ。リナに会いたくなったって」

本気なのか冗談なのかわからないヒロキの言葉。それに惑わされないように、眉間に力を入れる。


「別れてから一度も、連絡なんてしてこなかったくせに」

「それは、リナも同じでしょ?」

あたしの言葉は、どんな意味を持ってヒロキの耳に届いたのだろう。彼が、小さく首を傾げて微笑んだ。


「一年前に別れたとき、リナがもう俺とは関わらないようにしようって決めたことはわかってたよ。だから連絡しなかった。リナもそうでしょ?」

連絡しなかったことをあたしの決意のせいにするようなヒロキの言い方は、ずるいと思った。

唇を固く引き結んで何も言えずにいると、ヒロキがふふっと嬉しそうに緩く笑う。

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