王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
「あのね、3連休にシフトを変わってあげる約束をした子が、今日は早入りなんで上がりなんです、あたし。本当よ。心配しないで」
「――なら、よかった」
「うん。本当によかった。いつもならあたし、4時まで仕事だから。きみ、こんなとこに座ってたら溶けちゃってたわよ」
「……ぷっ」
 つい吹いてしまったおれに平泉さんもクスリと笑う。良いひとだ。
 だからもう、本当に情けない。
 おれの暴言のせいで町田から王女さんを奪わないように、なんとしてもこのひとを――王女さんを、町田に届けないと。
「座りませんか」
 ちゃんとレディーファーストで彼女にベンチを勧め、彼女がおどおどと腰かけたのを見てから、よっこらせと腰かける。
 なんだかスムーズ。まいったねぇ。
 片足に力を入れられないと、座るのがどんなに難儀かはもう身に染みていたのに。
 これが王女さんのよこす差分か。
 平泉さんが王女さんを連れてきているんだろう。
 見えねえ。
 感じねえ。
 信じてねえ。
 3ねえ人生のおれは、礼の言いかたすらわからんけども。
 今なら片足スクワットすらできそうだ。
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