花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く
ポピー:恋の予感


 昨日の帰り際、西さんが言ったことが頭から離れない。


 『私、明日から教室行くことにするから。ちゃんと待っててね』


 確かに、これまで特に体がつらそうな空気は感じ取れなかった。普通に話して、おなかがすいたらお菓子を食べて、のどが乾いたらお茶を飲む。

 西さんがこれまで教室に行かなかったのは、背中の花が誰かに見られたらびっくりさせちゃうからっていう理由で、それは今も変わらないはずだ。


 「どういう心境の変化……?」


 学校へ行く道、長い坂にさしかかったところで一度足を止める。毎日毎日この坂を上るのが最高にダルい。一度だけタクシーで使って楽をしていたやつを見かけたけど、そいつはその愚行が親にバレて半年お小遣いなしの刑に処されたらしい。


 仕方ない、今日ものぼらねば。


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