花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く
ホウセンカ:私に触れないで


 久しぶりの土砂降りだ。

 今日から6月。どこかの地域が一番乗りで梅雨入りをしたとスマホのニュースで目にしたような気がするけど、それももしかしたら気のせいだったかもしれない。

 朝、雨粒が窓を叩く音で目が覚めた。

 枕元に大きな四角窓があって、そこを暴力的なまでに激しい音を立てて水の粒が当たり、崩れて、流れていく。

 外を見るとアジサイがぽつぽつと花をつけているのが見えた。

 今日、もし学校があったら教室中びしょぬれになっていただろう。教室の後ろ側には色とりどりの役目を終えた傘が干されて、教室の中はジメっとした空気に満たされる。

 クラスのみんなは登校中に濡れてしまったことを嘆き、そして男子はぐしょぐしょになった靴下を脱いで裸足で1限を受ける。

 考えるだけでも気分が下がってしまうが、今日は土曜日、休日だ。


 「何時……」


 時計を見ると、午前7時。学校に行くときと全く同じ時間に、アラームもかけていないのに目が覚めてしまう。少しもったいないような気がするけれど、中途半端に覚醒してしまったせいで今から二度寝をすることは難しそうだ。

 気分が重い。ベッドから這い出て何とか服を着替えたけれど、朝ご飯をがっつり食べる気にはなれない。

 誰もいないキッチンへ行って、この状態でコーヒーだけ飲むと確実に胃を痛めてしまうからインスタントのレモンティーだけ飲み、また自室へ戻った。

 現在7時15分。

 テストも終わって特にすることがない。

 昨日あんな話をされてのんきに遊びに出ていくような強い精神力は持っていないし、そもそも俺と遊んでくれるような人がいない。いや、手あたり次第声をかけていけば数人は応えてくれるのかもしれないけれど、連絡先を知らない。机の上に置かれたオブジェと化してしまったスマホを引き出しの中にしまった。

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