カラフル☆デイズ

お母さんのことを昨日知ったばかりで、その理由を千紗に話す気には到底なれない。


千紗には深月先輩のことを含めて、未だに何も話せていなくて、理由も判らないまま心配をする千紗にしてみれば、もどかしく思っていると思う。


もしかしたら、あさ兄たちもこんな感じで、私に隠していることに申し訳なさを感じつつも話すことが出来なかったのかな、なんて思わなくもない。


だけど、私の場合は当事者で、それから家族でもある訳だし。


そう思うと、やり場のない想いが募って、今まで隠していたあさ兄たちを(なじ)りたくなる。


それなのに、昨日それが出来なかったのは、セイ兄のあの声を聞いてしまったから。


あんな風に、(すが)る様なセイ兄の声を聞いてしまったら、何も言えなかった。


言えないし、二人の話を聞いていたことを二人に気付かれちゃ駄目だとも思った。


あさ兄のことを『兄貴』って呼んだことからも、セイ兄の言葉にはどこまでも切実さが漂っていて、自らを(かえり)みず、私にばかり心を砕く二人に、これ以上心配は掛けられない。


私がお母さんのことを知ったと判ったら、きっと二人は私以上に辛い思いをするはずだから。



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