カラフル☆デイズ

そうだ。目的は達成した訳だから、古川先輩とはコレで終わり。明日からは関わらない。


だけど、やっと褒めてもらえて、それが思っていた以上に嬉しかったから、束の間、そのことが頭から消えていた。


ランチボックスの中身を綺麗に空にした古川先輩が、椅子から立ち上がる。


「突然、『明日から、お昼休みは化学室に来て下さい!今度こそ、美味しいって言わせるたまごサンドをご馳走します!』とか言われた時は何事かと思ったし、正直、相当面倒なヤツに関わってしまったかと思ってたけど」


でも、まぁ……と言って、ポケットから何かを取り出すと、私の手のひらに載せてきた。


「……?」


見れば、レモンやイチゴのキャンディが5つ。


「今までの昼メシ代」


「あ、りがと……ございます?」


わざわざ私の為に買ってきてくれたとは思えないけど、古川先輩がいつも持ち歩いているとも思えなくて。


この先輩には酷く不似合いなアイテムに視線を落としたままお礼を口にすると、「じゃあ」と一言だけ言い残して、古川先輩はあっさりと化学室から出て行った。


< 87 / 420 >

この作品をシェア

pagetop