昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 何度か瞬きしたら、春子さんが怪訝な顔をした。
「凛、どうしたの?」
「ちょっと文字がボヤけて見えちゃって」
 ハハッと笑って答えたら、彼女は急に真剣な顔で私に注意した。
「凛は働きすぎ。家でも家事をしてるんでしょう? いつか倒れるわよ」
「大丈夫。私、風邪を引いてもすぐに治っちゃうし、身体は丈夫なの」
 笑顔で力こぶを作って見せたが、彼女は少し冷めた目で私を見た。
「全然こぶできてないわよ」
「あれ? おかしいな。朝の農作業で腕の筋肉ついてるはずなのに」
「朝に農作業? ちゃんと寝てるの? 出版社の仕事だってしてるんでしょう?」
 春子さんが怖い顔をするので、少しビクビクしながら返した。
「う、うん。でもちゃんと寝てるから」
 本当は三時間しか寝てないけど。
 多分、寝不足で目が霞むのだ。ちゃんと寝れば治る。
 理由がわかってすっきりするも、家計のことを考えるとぐっすり眠れなくて寝不足が続き、身体もダルく感じるようになった。
 
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