不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
不器用な恋人
聖也さんが、経理課に戻ってきて、高木さんは、もろ手をあげて大喜び。

「やったー。これで残業から解放される」

「ほぉー、お前は、自分が役立たずだったと認めてるんだな」

「そんな…課長、酷いですよ」

そんな始業前の時間に、経理課のドアの前でたたずむ中村さんがいることに気がついたのは、課長だった。

「おー、中村。来たか」

みんなが、いっせいにドアの方角を見た。

みんなの視線を浴びて、戸惑っている様子。

「長い間、お休みして申し訳ありませんでした。今日から、心を入れ替えて頑張ります」

勇気を出してきたのだろう。

これだけ休むと、本来なら出勤しづらいものなのに、頑張ってきたんだなと思う。

みんなで拍手で歓迎ムード。

「ほんと、迷惑かけられてたんだから、頑張りなさいよ」

優香なりの励ましに、中村さんは照れ臭いらしく、手に持っていた紙袋を差し出してきた。

「ご迷惑をおかけしたお詫びです」

有名なお店のお菓子の詰め合わせ。

「あら、気遣いもできるようになったのね。進歩したじゃない」

優香は、嬉しそうに紙袋を受け取って、中村さんの肩を叩いて褒めている。

中村さんは、チラッと課長を見て頬を染める。

「はい、いろいろと教えてくださいましたから」
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