不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
目覚めると私を抱きしめて眠る主任が目の前にいる。

ほんと、なんだかな…

背を向けて寝てくれていればセフレなんだと自覚できるのに、どうして抱きしめて寝むるんだろう。

そう、思いながらも、寝ている彼に更に密着するようにすり寄ると、無意識でギュッと抱きしめてくれる。

好き…
もう、どうしようもないぐらいすきだよ。

主任をお持ち帰りした夜、大胆に考えなしの行動から、始まった関係。

2人の関係に名前をつけるとしたらなんなんだろう?

同僚?
セフレ?
どちらも何か違う。

会社で見せる穏和で、誰にでも優しく平等に接する彼、そんな人が、私を抱く時に優しい口調から一転してS気質な一面を見せながらも、優しい手つきで肌をなぞり、睦言でも可愛いと囁き蕩かせる声。時折、意地悪だけど、体だけが目的と思えない彼の行動の甘さは、無表情で可愛げのない私を、とことん蕩けさせて、もう、彼なしではいられないほど、彼に堕ちている。

他の人が知らない私だけが知る彼。

私だけの…彼。

本気になれないと言った彼が、別の誰かに恋して、本気になったら…

誰にも渡したくない。

恋人にもなれないのに、独占欲だけが強くなる。

恋人のような甘い時間を過ごすのに、何かが足りない…

私達は、恋人になりきれない恋人未満の関係だからだろうか?
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