Dear my star
そろそろ、本当に家に帰らなければいけない。
「お兄ちゃん、いっぱい我儘を聞いてくれてありがとう」
「どういたしまして」
お兄ちゃんは私の前に立って私を見下ろした。
「楽しかったね。すっごく楽しかった。あー、帰りたくないなあ」
冗談交じりにそういう。
家につけばもうこの時間は終わりなんだと思うと、まだもう少しこのままでいたかった。
「なーんてね。帰ろっか、お兄ちゃ────」
カシャンとブランコの鎖が揺れた。
顔をあげれば、お兄ちゃんが覆いかぶさるように私を見下ろしている。
その黒い瞳に吸い込まれてしまいそうな気がした。
どうしよう。目が、離せない。