Dear my star
Fifth star

宵闇に沈む



「……佳。……真佳、真佳!」


名前が呼ばれていることに気がついて、ハッと顔を上げた。

握っていたお箸を落としてしまって、からんと床に転がる。


「あー、もう」


呆れたようにそう言ったお兄ちゃんは、テーブルの下に潜り込んでお箸を拾い上げた。

拾ったお箸を丁寧に洗って、私に「はい」と手渡す。


「あり、がと……」

「どういたしまして。────で、どした?」


え、と返した言葉は変に上擦って、余計にお兄ちゃんは怪訝な顔をする。


「真佳、昨日帰ってきた時から変だよ。暗い顔してたし、ずっと上の空って感じ」

「なんでも……」

「何でもなくないだろ、見ればわかるよ。流石に下手な嘘つくと怒るよ」


そう言われて口をとざす。

『この話、私と真佳ちゃんの秘密ね。もちろん、真守くんにも。だって真佳ちゃん、誰かにバレると困るでしょ? まあ、私は誰に知られても困らないけれど』

あんなこと、言えるわけが無い。


「……進路のこと、まだ悩んでて。正樹叔父さんから色々聞いたら、余計分からなくなっちゃったの」


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