Dear my star
街に出るとどこからともなくクリスマスソングが流れていた。今日はクリスマスイブ、町中がどこか浮足立っている。
街路樹はピカピカ輝くイルミネーションで彩られ、昼間のように眩しい。どこかの家族の笑う声が響いている。ちょっぴり胸にちくりと刺さる。
私はクリスマスが嫌いだった。
赤い服を着たサンタさん。たくさんの温もりに包まれて笑う子供たち。ごちそう、プレゼント、輝くイルミネーション。
どれも羨ましいものばかりで、見ているのが辛かった。私には、ないものばかり。
クリスマスの日、サンタさんはプレゼントをくれなかった。私から一番大切なものを奪った。
きっとそれは、私が悪い子だったから。泣き虫で、わがままで、我慢ができない悪い子だったから。