義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
 さて、生徒会。現在の主な仕事。
 梓が呼ばれることが増えたのは単に人手が必要な事態であるからであって、難しいことを言いつけられることはなかった。
 なのでそれほど苦労もしなかった。
 例えば、ある日は会計のお手伝い。主に計算だ。
 各部活動の今期前半の集計をするのだという。
 バスケ部の予算は、この金額。
 その中から、なにに、いくらを使いました。
 残りに使える金額はこのくらいです。
 そのような割り出しに加えて、そこから算出して、後期に分け与える予算も計算するのだという。
 そういうものをまとめていく。
 ひとつひとつの部活だけでも大変なのに、慶隼学園には部活も大量に種類があった。とても一日二日では終わらない。
 けれど最新型の電卓があるので、計算自体はなにも難しいことなどない。数学が苦手といっても、そんなことはまるで影響しなかった。もはや、授業にもこれを持っていきたいくらいだ、と思ってしまう。
 それに梓たち、役職のない役員の仕事はその単純計算を黙々として、ノートに記録していくだけ。時間と手間はかかるが難しくなかった。
「お疲れ様」
 ある日の生徒会終了後。副会長の先輩が、その日作業をしていた後輩にジュースを振舞ってくれた。会計作業がひと段落したからとのねぎらいだった。
「ありがとうございます!」
 今日いられてラッキーだったな。
 梓は嬉しくなって、ほかの子たちと共に、お礼を言って缶ジュースをもらった。
 ちなみに『副会長』といっても渉ではない。
 なぜかというと、生徒会の副会長は一人ではないからだ。男女一人ずつで、二人。
 男子が渉で、女子がこのひと、三年生の金糸 香菜(かねし かな)先輩である。
 金糸先輩は、梓にとって一番立場が上の女子先輩ということになる。よって、「会長とか男子に言いづらいことは私に相談してね」と言われていた。
 そのときは特に思いつかなかったが、そういうこともあるかもしれない。梓はちょっと安心したものだ。
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