ずっとあなたが好きでした。
やっぱり、新しい恋なんて無理なんだ。
そのことを痛感した。



(だけど……)



私にはどうしても新しい恋をしなくてはならない理由があるから。



(うん、頑張ろ。
これからだもの。)



私はスマホの画面を開いた。



『広瀬さん、こんばんは。
お疲れ様です。』



その後の文章が浮かばない。
どうでも良い内容なら、いくらでも出て来るのに。



ふと、広瀬さんの姿を思い浮かべた。
ほかの三人とはちょっとタイプが違って、真面目そうな人だった。
特にイケメンってわけではないけど、悪くもない。
つまりは、ごく普通の人で、話もあんまりしてなかった。
性格的に大人しいのかな?
人と喋るのがあんまり得意じゃないのかも。



(あ……)



そういえば、広瀬さん…趣味は映画鑑賞って言ってたっけ。



『最近、面白かった映画はなんですか?』



画面を見ながら、何か違和感を感じた。



(……違う。そうじゃない。)



『良かったら、今度映画に行きませんか?
広瀬さんのオススメの映画を見たいです。』



そう、これだ。
最初からこのくらい押さないと。
それで玉砕したら、また別の人をみつければ良い。



(あ、でも、佳那には彼氏が出来ちゃったから、しばらく合コンはやらないかな?)

そんなことを考えたら、私は思わず笑っていた。
なんだか、無性に笑いが込み上げて…なのに、私の瞳は濡れていた。
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