ずっとあなたが好きでした。
あの愛美さんが僕の彼女だと思われてたら、もしも翔子の彼氏がイケメンでも、惨めな想いをしなくてすむ。



(あぁ、最悪だ。
僕って、プライドも高かったのか?)



やがて、客電が落ち、映画が始まった。



見ているうちに、忘れていた記憶が甦るのを感じた。



「昔の映画にかなり忠実だな。」

「そうだよね。登場人物のイメージも変わらないね。」

二人であれこれ話しながら…時には笑って、時にはホロリと来て…
そして、やたらと長いキスシーンには、ちょっと気まずい想いをして…



やっぱり、翔子とは自然体でいられる。



そりゃそうだよな。
幼稚園児の時から一緒だったんだから…



ふと、盗み見た翔子の横顔は、あの頃とは違い、とても綺麗になっていて…
僕は急に恥ずかしくなり、視線を外した。



騒ぐ心臓の音が翔子に聞こえるんじゃないかと心配になり、僕は一際大きな声で笑った。



「どうしたの?」

「え?今の、面白かったから。」

「……そうなんだ。確かに。」

微笑む翔子の顔に、また心臓が騒いだ。



おかしい。
今日の僕はどうかしている。



そう思うのに、僕のドキドキはなかなかおさまらなかった。

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