ずっとあなたが好きでした。
side 潤
「そうだったんだ…だから、あの頃、急によそよそしくなったんだな。
理由が全然わからなかったから、ちょっと悩んだよ。」

あの年は、毎年もらえる翔子からのチョコもなかったから、なんだかすごく寂しかった。



「……ごめんなさい。」

「翔子が悪いわけじゃないよ。」



本当にびっくりした。
そんな誤解があったなんて。
誤解というよりは、紗夜って子の嘘のせいだ。
告られたのは確かに嬉しかった。
なんせ僕はモテないから、告白なんてそれまで一度もされたことなかったから。
けど、クラスメイトってだけで、話したことさえあんまりなかったし、見た目が好きってわけでもなくて、しかも、受験もあったから、付き合おうとは全く思わなかったんだ。



でも、まさか、そんな嘘を吐かれてたなんて…



(あ……)



「翔子、あのバレンタインデーとチョコが食べられなくなったことは、何か関係があるのか?」

「そ、それは……」

翔子の声が急に小さくなり、なんだか辛そうに俯いた。



しばらく沈黙が続いてから、翔子はぽつりと呟いた。



「潤と紗夜が付き合うって思ったら、急にチョコがだめになったんだ。
多分…バレンタインデーがきっかけだったから…かな?
自分でも良くわからない。
あの時ね、いつものように潤にチョコを準備してたんだ。
渡せなくなったから、自分で食べようとしたら、なんだかすごく気分が悪くなって…」

どうしてだろう?
僕にはその理由がわからなかった。
翔子は、紗夜って子が僕と付き合うことになったと思ってて、
それで、チョコがだめになるって、どういうことなんだろう?
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