ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜

――ウィステリア製薬が、アメリカの大手IT企業・J.T.と業務提携を結んでから3年。医療用アプリの開発に成功し、初の業績トップに躍り出たことから、大きな注目を集めています。業界トップを走り続けてきた神谷製薬は、2位に後退し.......


「神谷製薬さん、大丈夫かしら。」

「まあ、うちの病院ほど大変なことではないさ。」


 少し眠りについていた私は、昼過ぎに目を覚まし、リビングに降りた。その時、開いていた扉の向こうから聞こえてきた、テレビから流れる神谷製薬のニュースと両親の声。


 このまま潰れてしまえばいいのに――。

 私の中の悪魔が、そう囁くのが聞こえた。


「あら、晴日ちゃん。帰ってたの?」

 入るタイミングを伺いながら、リビングの扉の側で立ち尽くしていると、椅子に座ったまま振り返った母の声にハッとした。

「うん。」

 そう返事をしながら顔を見せると、つられて振り返った父と目が合った。しかし、目を合わせたのはほんの一瞬。すぐにスッと目を逸らされる。

「いつ帰ってきたんだか知らんが、神谷家に嫁に行くという自覚を持ちなさい。」

 そして、体裁しか気にしていない父の冷たい一言が降ってきた。

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