恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
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蒸し暑さにずいぶん朝早くから目覚めてしまった。今日も1日暑くなるなと思いながら、カーテンを開けて空を見上げる。

今日の予定が頭をよぎり顔をにやつかせていると、静寂を破るように突然携帯が鳴り響きびくっと思わず肩が揺れた。

今日から仕事は連休の予定だが、早朝の電話は職場からの出勤要請の呼び出しが多く、私はこれから仕事に行かなくてはいけないのかと、がっくり肩を落として携帯電話を手に取った。

手にした携帯の画面に目をやると、『沖田先生』という文字が目に入り、

「ふぅ」

とすぐに安堵のため息が漏れた。

でも、こんな時間に先生から?

早朝の電話に眉をひそめて首を捻り、鳴り続ける電話に慌てて応答画面をタップした。

顔をにやつかせていた今日の予定。

そう、今日は先生と久しりに会う約束をしているのだ。


しかも、私たちはなんと!!

これから一泊旅行に行くことになっているのだ。

といっても、声をかけてきたのは沖田先生ではなく医院長で…

「いやぁ…うちの奥さんに沖田先生に彼女ができたのバレちゃってね。
会いたいってせがまれてるんだよ」

と眉を下げて困り顔をした医院長は、大きな体を縮ませながら両手を合わせた。

「二人同じ日に夏期休暇いれるからさ。ねぇ、うちの別荘泊まりにきて一緒に過ごしてよ。頼む、このとおり」
と懇願された。

愛妻家で奥様にベタ惚れで有名な医院長は、奥様のお願いにはめっぽう弱く、医院長の可愛らしい姿にほっこりしながら、私はすぐに快諾をした。

うん、だって医院長ファミリーも一緒だけど、沖田先生と初めてのお泊まり旅行だもん。

こんなチャンス逃すわけにはちかない。

心の中で万歳しながら医院長夫妻に感謝する。

にやけそうな顔をどうにか抑えて、ドキドキしながら、ちらりと隣に立つ沖田先生を見上げると、喜ぶ私と違い、眉をひそめとんでもなく不機嫌な顔をしてむすっとしている。

私の視線に気がついた先生は、チラッと横目で私を見て、大きく息を吐き出した。

「はぁぁ、仕方ないか」
と呟き、私にしっかり視線を合わせ、

「そんな目で見られたら断れないだろ」
と苦笑いした。

「真琴、悪いが一緒に行ってくれ。
俺と医院長の家族は子供のときから付き合いがあって孝子さんにはいろいろ世話になってるんだ。孝子さんの耳に入ったのならしかたないな。紹介するしかなさそうだな」
と表情を曇らせた。

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