リアル
．．．


「一つ聞いてもいいですか？」


軽く杉田純一が頷いた。


「何故、茜をこの道に誘ったんですか？」


「今、麻波ちゃん達が働いているお店は元々は俺の母が働いていた店だったんだよ。今の店は一回潰れてしまっていてね。けれど絶対にこの店を買い取ってやるって思っていて．．．。」


「えっ？じゃぁ最初からオーナーの店じゃなかったって事ですか？」


「そうなるね。新宿店から始め、今は関東に3店舗出して、それから元、母の働いていた今の店を買い取ったんだ。」


「茜ちゃんは何処か少し母に似ていたのかな．．．。だから、母の働いた場所、その地で働いてほしかったのかも。」


「．．．でもオーナーはさっき母は憎いって。」


「．．．憎いけど．．．それ以上に愛していたんだろうね。麻波ちゃんの言う通り､俺はマザコンだよ｡」


静かな空間にアルコールで喉を鳴らす音が静かに響く。


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