リアル
飲み物が静かにテーブルに置かれた。


「いきなりの電話何かあったの?」


コーヒーに軽く口をつけながら杉田純一は口を開いた。


紅茶にガムシロを入れ、クルクルとスプーンで回しながらあたしは俯いていた。

何を話していぃか分からないからだ。


酔った勢いで麻波の部屋を飛びだし、そして杉田純一と会った。


苛々とする気持ちをどう言葉で表現していぃか分からない。

「...別に何もナイよ...。」


目を反らしながら言うあたし。


「茜が目を反らすなんておかしいでしょ。いつもの真っすぐな瞳で言ってごらん。」


真っすぐな杉田純一の瞳。


そんな瞳で見つめられたら甘えたくなってしまう。


「...今日の夜、麻波と飲んでいたんでしょ?」


「そうだよ。少しの時間だけど麻波ちゃんと飲んでいたよ。」


「...けど麻波はジュンと飲んでいたのを隠していたよ。。何で?...」


「さぁ。何故隠したのかは俺には分からないな。」


「あたしに言えないやましい事があるから?」


クスッ...。


杉田純一が笑いだした。


「茜、やましい事って何?むしろ麻波ちゃんは茜の事を心配していたよ。」


「心配?」


「そうだよ。心配していた。」


「何を...?」


「茜と俺の事を。」

今日杉田純一と会ってから始めて彼の目をじっと見つめた...。


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