巡り行く季節の中心から【連載中】
「あら」
「?」
「笑った顔可愛いじゃないの。よく見ると冬香って元のつくりは悪くないみたいだし……そうだ!コレを機に思い切ってイメチェンしましょうよ!」
「いめ、ちぇん?」


この人なら……私のこと本気で叱ってくれたこの人なら信じられる気がする。


「そうねぇ、まずその長い前髪をバッサリいくわよ!そんでせっかく細い足なんだからスカートももっと短くして……冬香ならニーハイとか似合いそうねー」
「駄目だよ、校則違反になっちゃう」
「校則なんて破るためにあるようなものじゃない」
「ええ~!?」


ゆっくりでいい。


「その前にその“芳賀さん”っての止めにしない?堅苦しいから」
「えと……じゃあ夏枝さん?」
「もういっちょ!」
「……夏枝ちゃん?」
「合格合格!」


自分のペースを乱さないように、心の傷を癒してくれるこの人と時間を共有して、


「というわけでこれからよろしくね冬香」
「こちらこそ、芳賀さ……夏枝ちゃん」


いつか、臆病な私にさよならするんだ。
< 78 / 97 >

この作品をシェア

pagetop