穂先輩が甘々すぎる。
私はそんな先輩を、とにかく首を傾げて見上げるしかなくて。
「いいじゃん。帰り同じ方向なんだし。」
穂先輩は、笑みを浮かべたまま私にけろっとした様子でそんなふうに言った。
…た、たしかに朝同じ車両に乗っていたらしいけど…!
い、いいじゃんだなんてそんな軽いノリで…!
「な…なんで私なんかと…?」
「俺が、ほたるのこと気に入ったからだよ。」
訝しげに素朴な疑問をぶつけると、穂先輩からあっさりとなんとも恥ずかしい答えが返ってきて。
「………っ」
私は目を見開いて、言葉に詰まった。
そして、この会話は教室や廊下で聞き耳を立てているみんなに筒抜けだ。
周りにいる女子から、きゃーっ!という大きな黄色い悲鳴が上がっている。