穂先輩が甘々すぎる。
穂先輩は高い吊革につかまって、電車の外をぼうっと眺めてて。
私は、読んでいた小説をパタンととじてスクバに仕舞い込んで。
穂先輩の綺麗なその横顔を、停車駅に着くまで意味もなくぼうっと眺めていた。
穂先輩の横顔越しに見える電車の外の風景も、なぜだかいつもより綺麗に見えた。
数分後に辿り着いた停車駅。
今日は、スクバのポケットにいつも通り定期が入ってる。
ほっと安堵の息をはいて、しっかり手で掴んでポケットから取り出した。
もう、あんなふうに落とさないようにしなきゃ。
穂先輩の背中に続いて、私も電車を降りる。
改札をくぐって人気が少なくなったあと、前にいた穂先輩が私の方を振り返って。
私が穂先輩の隣に着いた瞬間、また歩き出した。
昨日みたいに、ふたり並んで。
駅から学校はすぐそこだから、ものの数分で着いて校門をくぐった。