DIYで魔法世界を再建!
第三章 選択肢
「・・・じゃあ、私はやっぱり死んじゃったんですね。」

「・・・まぁ、そうゆう事になるな。」

いつの間にか、神様はその場に座り込み、黙って私の話を聞いてくれた。自分で口に出して、此処に来る直前を思い返すと、色々と思い浮かぶ節がいくつもある。

「じゃあ、あの大きな竜巻って、貴方が生み出したの?」

「いや、違う
 あれは自然と生まれた存在だ。俺は何も手は下していない。・・・だが、あの大きさの竜巻
 は、正直俺でも一瞬恐ろしく感じたぞ。
 ・・・だが安心しろ、お前が助けた坊主も、船の中に避難した人も、全員助かったぞ。」

「本当ですか?!」

「あぁ、ただ地上の方では、今も大騒ぎ状態だぞ。あの竜巻は、今も陸に沿って進んでいる。あ
 の辺りは漁船や市場もいっぱい立ち並んでいるから、多分お前の『仲間』も、遅かれ早かれ現
 れると思うぞ。」

私は複雑な心境だった。確かに私が救おうとした男の子が無事だったのは喜ばしいけど、それでも犠牲者は出てしまう。
これが『天災』の恐ろしいところだ。家族・知人・他人も関係なく、全てを引き込んでしまうんだから。
ニュースでよく報道されている『竜巻警報』の恐ろしさを、今更になって学んだ。でも、私の知る限り、その日は警報なんて一切出ていなかった。私の住んでいた県の天気は、晴天だった筈。
ただ、どんなに科学が発達しても、自然災害に抗えず。もうこれは「しょうがない」と諦めるしかない。人間の発達も、宇宙レベルで見れば「その程度」に過ぎないのかも。
地震や洪水で不幸になってしまうのは、理不尽でしかない。ただ、私の場合は少し異なるのかもしれない。
あの時、もっと早く行動していれば、男の子を自分一人で助けようとしなければ、こんな事にはならなかったのかもしれない。
ただ、それを今嘆いても、もう遅い。結局『人の死』に、『成功』も『失敗』もないのかもしれない。自然の成り行きのまま死ねるのは、それはそれで贅沢な事なのかもしれない。
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