DIYで魔法世界を再建!
第三十一章 『偽る』勇気 『偽る』苦悩
「私は・・・シーズと申します」

「シーズさんは、何処の国から来たの?」

「ヌエちゃんと一緒だってさ。確か・・・『オロチ』だったっけ?」

「そうなんだ! 同じ国出身の人が来てくれるなんて、すごい偶然!」

ヌエちゃんはだいぶウキウキな気分になっていた。確かに私も、本土の学校へ行った時、同じ沙斗島出身の同級生がいるだけでも大興奮だった。
やっぱり共通点があれば、それだけで互いに仲良くなれる。シーズさんの出身国をヌエちゃんと同じオロチにしてしまったのは、正直その場の勢い。
他にも色々と国の名前は教わっている筈なのに、真っ先に浮かんだ国名が、オロチくらいしかなかった。
やっぱり私は土壇場に弱い。でもヌエちゃん自身も、何の疑いもなく信じてくれたから、まぁ結果オーライ。彼女には申し訳ないけど、この『嘘』をそのまま貫き通す事に。
見かけ通り、シーズさんは学者だった。特に生物学・植物学に精通している、相当頭のいい人だった。だがヌエちゃんの話によると、生物学を研究する人間は、どの国でもかなり少ないんだとか。
戦争が起きる前は、多くの学者が名を馳せていた。多くの分野が存在して、老若男女問わず、多くの人々が国に尽力していた。
しかし、それも戦争が始まると、全てが狂い始める。戦争とは関係のない研究をする学者は、迫害されてしまったのだ。
『戦争の資源を無駄にする者』として、重税などの罰を受ける羽目に。その結果、多くの学者が、自分の求める道を捨て、国の敷いたレールの上を走る事に。
・・・ただ、その行き先は、真っ黒で出口の見えないトンネルなんだけど。でもシーズさんの様に、自分の道を捨てられなかった学者も多く、彼らもまた国から逃げ出した。
ただ、何処の国に行っても、自分の持つ能力や技術は必要とされず、門前払いを喰らうばかり。そんな話を、シーズさんはしみじみと語っていた。懐からペンを取り出し、それとただジッと見つめながら。
私も生前、彼と似た様な体験をした。そう、あれは私がまだ小学校低学年の頃。その時から物作りが大好きな私は、学校の備品もちょくちょく修理した。
特に男子が、ふざけあって壊した箒やバケツを私に私、頭を下げるなんて日常茶飯事だった。まぁそんな過程があって、私は男友達が多い。
「俺の姉ちゃんより頼もしい」なんて言われる程、男子メンバーの中でも一目置かれる存在だった私。もちろん、女の友達だって勿論いた、男女関係なく軽く接する事ができるのも、私の特長である。
ただ、それをあまり良しとしない人もいた。まぁ、『自称』霊感体質のHさんよりはマシではあったけど・・・。
それが、私が二年生の頃、担任を務めていた男の先生。その先生がどういった思考を持っていたのかは分からないけど、ある日私にこんな言葉を投げかけた。
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