DIYで魔法世界を再建!
地下道を奥へ奥へと進む度に、人型の飢獣に幾度も襲われた。でも、その度に私が撃退する。本当、精霊さんの授けてくれた剣様様だ。
何度も何度も飢獣を相手にしても、決して刃こぼれしないし、切れ味が落ちる事もない。普通の鉄製の剣なら、今頃ズタボロになっている。
一応切れ味が落ちた時用に砥石も持って来たけど、必要ないと断定した私は、そこら辺に放り投げて捨てた。
しかも剣自体がとても軽いから、肩や腕に全く負担にならない。正直、薪を斧で割る時よりも全然楽だ。持っているのかも怪しく思える程の軽さ。
シーズさんの話によると、地下道は真上から見た大樹の様な造りになっているらしく、細道からだんだんと城に向かって道が広がり、城の真下には大きな空間が広がっているんだとか。
確かに私達が歩を進める毎に、雑貨やスプーン等の生活用品が転がっている事が多くなった。壁には牢屋と一体化した箇所まである。
牢屋は地下にあるイメージだったけど、やっぱりその訳としては、囚人を逃さないようにする為。シーズさんの扱いは、完全に囚人だった。
牢屋の奥を覗いてみたい気持ちもあるけど、シーズさんから止められた。でも止めた理由も、何となく察せる。牢屋の中から漏れ出る臭いは、外よりも強烈だった。
こんな地下道に設置された牢屋、衛生管理が整っている方がおかしい。中を見たら頭がおかしくなるかもしれない。臭いを少し嗅ぐだけでも既に頭が痛い。
せっかく荒野から解放されても、まだまだ油断ならない。でも、シーズさんが的確な道を教えてくれるおかげで、無駄な遠回りもしなくて済んだ。
地下道の中には、行き止まりに通じる道もあれば、落とし穴や罠に通じる道もあるんだとか。さすが、抜かりない。
でもそれを全く知らない人にとって、この地下道は『あの世』に通じていると考えられてもおかしくはない。この地下道に迷い込んだ人の中にも、落とし穴や罠の犠牲になった人もいる可能性がある。
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