DIYで魔法世界を再建!
第二十章 百ノ虫
「・・・あっ!!!」

小川に到着した私は、声を上げて仰天する。何故なら、久しぶりに私と同じ、『人間』を目にしたからだ。
約1ヶ月は、生前の私ならあっという間に感じる程短い期間だったけど、今は違う。これほど焦がれていた存在もなかった。
私をサポートしてくれる精霊さんも、一応人間と同様の姿をしているけど、それでもやっぱり、正真正銘の『人間』を見かけた事に驚喜する私。
ただ、今はまだ飛び上がって喜んでいる場合ではない。小川で気絶している人に近づいて声をかけて、意識があるのか確かめようとした私に待ち受けていたのは・・・



ドゴォ!!!



「・・・で・・・で・・・

 でぇっっっかぁぁぁぁ??!!」

岩を砕き、木々を薙ぎ倒すその姿は、まさに『怪獣』そのもの。そのあまりにも巨大な姿は、幼い頃に読んだ図書館の絵本にも掲載されていた。
でも、日本の昔話は、妙にリアルだったり生々しかったりする。だから物語の内容は印象に残っていなかったけど、登場する『妖怪』についてはちゃんと覚えていた。
ただ、まさか自分の目で本物を見られるなんて思ってもいなかったから、『興奮』を通り越して『唖然』とするしかなかった。
まるで足一本一本に神経が通っているかの様な、一糸乱れぬ足並み。鬼灯の様に耀くギラギラとした丸い目は、明らかに私を『餌』と見做していた。
まるで電車の様な巨体を揺らしながら、ゆっくりと私に近づいてくる。まるで私が、蟻サイズに縮んでしまった感覚にすら陥ってしまう。
そう、その姿はまさに

『巨大なムカデ』
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