さよならは響かない
ふたりの記憶、きみの知らない、本音






午後十時半。

薄手のパーカーを羽織って、スマホをポケットに入れる。
部屋の窓を開けると、少し冷たくなった夜風が頬を掠める。


シキの部屋と私の部屋は隣りあわせだった。
よくある少女漫画のように、わたしは窓から手を伸ばしてシキの部屋の窓をノックした。



コンコン、

音を鳴らせば、部屋から音が聞こえて、すぐに窓の鍵が開く。
鍵を開ける音が聞こえたえら、開けていいの合図だった。



カラカラ、

窓を開ければ、こっちを見ないシキがベッドに戻っていっていた。




窓と窓の隙間は本当に少ししかない。

小さい頃はシキの手を借りないと通り抜けられなかったそこは、今では簡単に一人で通り抜けることができてしまう。




青色と白色の二色で整えられている部屋は、昔から何にも変わらない。

青色が好きなシキと、唯一の共通点は部屋の色合いだった。



シキに視線を移した。

早々にベッドに戻り寝転んでいるシキの左耳についているシルバーと青色の小さなピアス。
わたしの右耳にも、おんなじ物がついていた。



わたしとシキが唯一恋人である証拠は、このピアスだけだった。

これを外さない限り、どれだけ遠くにいてもシキは離れていかないような気がしていた。



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