幼恋。




昔から気性は荒い方だったとは思うけど
中学からはガラの悪い人達と絡んでたり
暴力が酷くなったり…。



それでもやっぱり幼なじみだから切れない縁だし放っておけなくて、暴力をされても拒否や助けを求めることも出来ずにいる。






「おりちゃん!大丈夫?
すごい音したけど…」



「叶ちゃん、何も無いよ?
ちょっと物落としただけだよ」






私が椛の部屋から出ると、心配そうな顔でそう言って駆け寄ってきたのは
椛の兄で1つ年上の幼なじみ
木下 叶(きのした きょう)くん。



叶ちゃんは椛と違って優しくて、女の子と間違うほど可愛い男の子。




昔からお兄ちゃんのような存在だけど
椛と叶ちゃんは仲が悪いみたい。






「父さん達も心配してたよ
おりちゃん椛になにかされてるでしょ?」



「なにかって??
本当に何も無いよ」






きっと私への暴力がバレたら椛は怒られるし、何よりそれによって私への暴力が悪化するのも怖い。



だから笑って叶ちゃんに答えると、叶ちゃんは何か言いたげな顔だけど、それ以上は口を開かなかった。






「それより叶ちゃん、これ女の子から預かってたんだった」






叶ちゃんとリビングに行きながら、ポケットからクラスの女の子から渡された手紙を叶ちゃんに渡すと

少し困った顔で受け取る叶ちゃん。




多分告白の手紙なんだろうな。
叶ちゃんかっこよくて人当たりもいいから学年問わずにモテてるのをよく見かけるもん。






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