幼恋。




谷くんはボコボコと容赦なく谷くんをサッカーボールのように蹴り続けてて、あまりにも痛々しい。



思わず私が有澤くんの腕を掴んで止めると、有澤くんは心の底からゾッとするような顔で私を一瞬見た。






「俺を止めるの?
沖田ちゃんじゃなかったら谷と同じ目に遭わせてるところだった〜あはは」



「おいバカ奏斗、やめろ」






有澤くんの顔があまりにも怖すぎて私が固まったと同時に、椛の声が響いた。






「もうそいつには関わるな」



「え〜だって〜、沖田ちゃんに暴力仕掛けたんだよ〜」



「もういい。そいつに割く時間がもったいない」






椛がそう言って私と有澤くんの腕を掴んでその場から立ち去ろうとすると、谷くんは立ち上がって椛の肩を掴む。






「おい、もうおりははお前の彼女じゃねぇからな。二度と近づくなよ」






椛は谷くんの顔を見ることなく、谷くんの腕を払い除けて私と有澤くんを引きずるように連れて歩き出した。






「あ、あとお前の執着してた由佳子とか言うやつとちゃんと話し合えよ」






由佳子?誰?



全く話の見えない私とは裏腹に、椛の指さした先に女の子が立っていて


その子を見た瞬間、谷くんの目には涙が溜まっていったのだった。






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