入れ替わったら彼の愛情をつきつけられました。
☆☆☆

それから美緒はソファでダラダラと時間をつぶし始めた。


いくら前向きに考えてみたくても、それができないときがある。


そんなときはなにもせずにただ、ダラダラ過ごすに限るのだ。


幸い仕事も休んでいて難しいことを考える必要だってない。


この機会を逃すものかと、ひたすらだらける。


「陽菜」


突然名前を呼ばれて「陽菜じゃないわよ!」と怒鳴りながら飛び起きた。


そして目の前にいる大河の姿に瞬きをする。


「え、あ……」


大きな窓へ視線を向けると外はすでに暗くなっている。


「ご、ごめんなさい! 私いつの間にか寝ちゃったみたいで」


慌てて飛び起きて髪の毛の乱れを直す。


そんな美緒を大河はクスクスと笑って見つめた。


「陽菜がこんなところで昼寝してるなんて珍しいね」


「つい、うとうとしちゃって」


言いながらうつむく。


またやってしまった。


やっぱり自分は陽菜のようにはできない。


「晩ご飯は?」


くるりとキッチンへ顔を向けて聞く大河。


「あ、ご、ごめんなさい! 寝てたから……」


あぁ、今日はもう散々だ。


なにもできていない上に、大河のお出迎えすら行かなかった。


こんな失態を犯すなんて自分が情けなくて仕方ない。


急いでキッチンへ向かうとカーペットに足をとられて転びそうになってしまった。
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